ヘヴィ・メタルという用語は、
アメリカの音楽ライターWilliam S. Burroughsが使い始め、
ステッペン・ウルフの名曲「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」の中で、
バイクを「へヴィ・メタル・サンダー」と例えたことから普及したと言われている。
また、当初はジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスやブルー・チアーのようなバンドが生み出した、
エモーショナルで強烈なギター・ワークそのものを描写する用語だったようだ。
その後、あらゆるバンドがハード・ロックやアシッド・ロックの"サイケデリックなニュアンス"をさらに深化させ、
特にギタリストたちはフィードバック奏法や強烈なディストーションに執心していった――。
そこにタイトで重いドラムが加わってヘヴィ・メタルは完成したのである。
イギリスのアイアン・メイデンやデフ・レパードは、
「英国ヘヴィ・メタル界のニューウェイヴ」と称され絶大な人気を誇ったが、
そこから現在ではスラッシュ・メタルのメタリカやパンテラ、ブラック・メタルのクレイドル・オブ・フィルス……などが現れ、大きく活躍している。
――「メタル」が常に新しいサブジャンルを生み続けているのは明らかであり、実のところ日々進化している非常に先鋭的なジャンルなのだ。
スレイヤーに代表される、スラッシュ/スピード・メタルの攻撃的なサウンド+暴力的な歌詞――。
そこから派生した「デス・メタル」は、超暴力的で高速的な演奏を誇る暗黒の使者ようだ。
80年代にイギリスから登場したナパーム・デスやカルカス、
フロリダ出身のデス、ディーサイド、オビチュアリーといったバンドが作り出すサウンドは、まったくもって猟奇映画におあつらえ向きだ。
流血の中を転げ回るような暴虐的歌詞、おどろおどろしい歌唱法――。
そしてギターはチューニングを落としていたずらに低音部を強調し、
ヴォーカルは得体の知れない唸り声をあげ、喉の奥深くから身の毛もよだつ言葉をわめきちらす。
また、スピード違反の感さえある攻撃的ビートが生み出す超高速サウンドは、まるで自らの体力の限界に挑むようでもある。
余談だがナパーム・デスのドラマー、ミック・ハリスがスポーツマンとしても優秀だという話には、すかさず納得させられる。
結局のところデス・メタルの音楽的進化はそれほどのものでもなかったが、
後に、より政治的でパンク的な要素をもつ「グラインドコア」というスタイルを生みに至っている。
そしてスカンジナビアにおけるデス・メタル・バンドは、中世色の濃い、悪魔崇拝/ヴァイキング伝承などを唱える「ブラック・メタル」へと変化していった。