知らないことは「知らない」と正直に言う。
カリフォルニア大学のある高名な教授の講義を聞いた時の事だ。
ねずみを使った実験に関する講義だったが、一人の学生が「その実験で、条件をこう変えたらどうなるのでしょうか」と質問した。
私は、教授がなんと答えるのか”期待”したのだが、なんと、その教授はいっこうに悪くびれた風もなく、
「私には分からない」と堂々と答えたので明白。
私も含めて日本の大学の教授なら、学生の質問に「わからない」と率直に言うものは、おそらくいないだろう。
「こんな結果が予想されます」
など、何とかその場をしのごうとするに違いない。人間には誰にも、自分の弱みは人に見せたくないという心理がある。
そのため、「わからない」と認めることに抵抗を感じ、分からないことでもわかっているようなフリをしがちである。
しかし、時には、分からないことを、
はっきり「わからない」というものも、自分をプラスに見せる上で、たいへん効果的な自己表現法となるのである。
というのは、一つには、非常に正直で率直だという印象を強く与えることができるからである。
また、「わからない」とあえて口にする勇気を持っているということは、
裏返せば、「ほかの事は分かっているのだ」という自信を持っているということにもなる。
実際、先に教授の場合も、私は大変率直だという好感を抱き、講義の内容への信頼感もいっそう強まったのである。